医療現場で働く際、十分に活躍したいという覚悟を持った看護師は少なくありません。しかし、看護師は基本として医師の指示がなければ医療行為ができず、患者の治療を行う点で想像以上の活躍が難しいのが日本の現状でしょう。そのため、看護師として活躍できる可能性の範囲を開拓していくことが重要となってきます。しかし、これはあくまで日本国内に限った話であることは理解しておく必要があるでしょう。海外の看護師の仕事幅について知ると、将来的な展望について考え方が変わる可能性があるのです。
海外では、看護師の業務範囲が拡大される傾向が強まってきています。医師の指示がなくても医療行為を行えるのが基本となっていたり、ナースプラクティショナーのような上位の資格を取得することで医療行為が可能になったりする国が増えてきました。医師の指示がないということは、自分で判断しなければならないということです。それだけ、責任も重くなるでしょう。ですが、より患者に対して貢献し、活躍していきたい看護師にとってはやりがいのある状況と言えます。
活躍を求める人にとっては良い環境であることから、海外で看護師として働くことを選択肢の一つとして考えてみるのも良いでしょう。ただし、近年では国内でも看護師の医療行為を認める特定看護師の制度を作り、仕事の範囲を拡大する動きが出てきています。そういった動向を踏まえたうえで進む道を検討すれば、より活躍の幅を広げることができるでしょう。
海外で看護師として仕事をする時に、日本とは大きく違うのは、多人数のチームで看護を行うことが多く、役割分担が明確だということです。日本では、看護師は患者に寄り添う姿勢が求められますが、海外では一見ドライに感じられるほどに、回診や投薬もローテーションが決まると自分の任務を淡々と遂行して、患者の容体に関わらず、看護師は割り切った姿勢で時間になると帰宅してしまいます。日本人では、基本的には入院中に同じ医師と看護師が病状経過を診ることが多いですが、海外では多くの医師と看護師が一人の患者に接することになります。
日本と海外の看護の大きな違いのひとつに言語の違いがあります。海外の看護師が医師とは英語でコミュニケーションを取れても、患者との間には通訳を介す場合が多々あります。病状や投薬について説明したつもりでも、通訳者の訳し方によっては、十分に伝わっていなかったということが起こるのです。英語圏以外では、現地語の日常会話も理解できるように努める必要があります。患者に大きな安心感を与える助けとなるからです。また、海外では日本語を話せることも有利な点のひとつであり、日本人患者には日本語での温かい言葉ひとつかけるだけでも、日本にいる時とは違う大きな安心感につながります。
海外で看護をする看護師は、患者が海外での医療保険を持っているか、どのような種類のものなのかについての知識も求められます。日本の健康保険とは違う場合がありますし、手続きの書類も違ってくるためです。
看護師は、国内でも非常に需要が高く人気の職業ですが、日本国内のみならず海外でも活躍の場所はあります。海外で看護師として活動することは、様々なメリットがありますが、その分発生する手続きも多いので、しっかりと準備しなければなりません。海外で看護師が活躍する方法は大きく2つに分けることができます。ひとつがボランティアとして活動することで、もうひとつが留学するという方法です。
医師や看護師などといった、医療従事者をメインに募集しているボランティア団体は数多くあります。海外青年協力隊や国境なき医師団などがその代表です。これらに登録すれば、海外で活動する機会が巡ってくるでしょう。ボランティアとして活動する場合、その地は紛争地帯や難民避難地域、災害地域などであることも多いです。海外で活動するための費用を準備する必要はありませんが、時に日本と同様の充実した環境で医療を提供できるとは限らないということを頭に入れておきましょう。
留学するという方法は、海外の病院への紹介状をもらって働くという方法です。この場合、その国の看護師資格を取得する必要があるうえに、留学費用を捻出しなければなりません。海外で看護師として活動するメリットのひとつは、海外の医療技術を学ぶことができるという点です。日本にはない技術を学ぶことができるでしょう。また、自分で考えて行動する力を身に着けることができます。誰かが親切に教えてくれるということは少ないので、積極的に自分で行動する力が身につきます。そして、コミュニケーション能力が養われることもメリットです。多様な宗教観や文化に触れて、それぞれに適した接し方を学ぶことができるでしょう。