海外で看護師として仕事をする時に、日本とは大きく違うのは、多人数のチームで看護を行うことが多く、役割分担が明確だということです。日本では、看護師は患者に寄り添う姿勢が求められますが、海外では一見ドライに感じられるほどに、回診や投薬もローテーションが決まると自分の任務を淡々と遂行して、患者の容体に関わらず、看護師は割り切った姿勢で時間になると帰宅してしまいます。日本人では、基本的には入院中に同じ医師と看護師が病状経過を診ることが多いですが、海外では多くの医師と看護師が一人の患者に接することになります。

日本と海外の看護の大きな違いのひとつに言語の違いがあります。海外の看護師が医師とは英語でコミュニケーションを取れても、患者との間には通訳を介す場合が多々あります。病状や投薬について説明したつもりでも、通訳者の訳し方によっては、十分に伝わっていなかったということが起こるのです。英語圏以外では、現地語の日常会話も理解できるように努める必要があります。患者に大きな安心感を与える助けとなるからです。また、海外では日本語を話せることも有利な点のひとつであり、日本人患者には日本語での温かい言葉ひとつかけるだけでも、日本にいる時とは違う大きな安心感につながります。

海外で看護をする看護師は、患者が海外での医療保険を持っているか、どのような種類のものなのかについての知識も求められます。日本の健康保険とは違う場合がありますし、手続きの書類も違ってくるためです。